最近のゲームで流されるムービーは、ゲームの内容よりも重視されていると言っても過言ではありません。というのは大げさですが、最近のムービーは本当に凄くなりました。あまりの凄さに「もう一度見直したい」と思った人も数多いでしょう。オープニング・ムービーなら電源を入れれば見られるのですが、ゲーム中に流れるムービーとなるとそうはいきません。普通ならもう一度同じ箇所をやり直すしかありませんが､もっと手軽にムービーを見る方法があります｡
｢やらないソフトがあるけど､ムービーが綺麗だし捨てるのはもったいない｣と思っている人は､これを機会にムービーだけ取り出して溜まったソフトの整理などしてはいかがでしょうか｡
事の始まりは、とあるゲーム屋を訪れたのが始まりでした。マニアの間では名作と名高いセガサターン用ソフト｢ガングリフォン（以下GG）｣を見付けたことにあります｡このゲームは内容の面白さはもちろんの事、OPムービーが凄く綺麗でして、PS２が登場している今でも語り継がれているくらいです｡当時としては最高レベルの、そして今でも充分通用するムービーでした。
このゲームを欲しいと思ったのですが､PS2しかもっていない私が買ってもどうしようもありません。諦めかけた私の目に止まったのは、値札に書いてある180円という数字でした。缶コーヒーよりちょっと高い値段には、別の意味で諦めたのを覚えています。
何はともあれ、180円なら財布に優しい値段です。｢この値段ならパソコンでOPムービーだけ見れば元は取れるな｡本体はそのうち手に入れよう｣という安易な考えで購入し､ゲーム屋を後にしたのでありました。
GGのCDをパソコンに入れて、エクスプローラーで中を覗いてみると謎の拡張子のファイルと共に私が探しているファイルを見付けました｡
それは｢end.avi｣と「opn.avi」です｡名前からしてこのファイルが、OPとEDムービーとしか思えません｡｢拡張子がAVIなら､Windows
Media Playerで再生できるだろう｣という思いを胸にWMPで再生してみると｢こんなファイルには対応していない｣云々のエラーが出てしまいました。
結局再生はできず､私の目論見は簡単に崩れ去っていったのです。
しかし、この程度で諦めるわけにはいきません。｢ムービーが見られるようになるツールは、絶対にある｣という根拠のない信念のもと、Googleで探しました｡そして見付けたのが｢TmPlay｣というソフトです｡
使い方は物凄く簡単でして、ツールを起動後｢File→Open｣で目的のAVIファイルを選択するだけです｡
シェアウェアなので登録しないと途中までしかムービーを見ることができませんが､それでもパソコンでセガサターンのムービーを見るという行為自体に､ちょっと感動を覚えました｡なお豆知識になりますが､セガサターンのムービーをパソコンで再生できないのは｢TrueMotionムービー｣という特殊な形式を用いているためです｡
プレイステーション（以下PS）関連のツールですが、ハードの普及率のせいかセガサターンよりも多くのツールが出回っていますので、ムービーの取り込みなどは非情に楽です。とは言いましても、数あるツールの全てを紹介するわけにもいきませんので、私が使っているPsxMCというツールを紹介します｡
数あるツールの中で何故PｓｘMCを選んだのかといいますと､ただOP動画を見るだけではなくて+αの機能があり、インターフェイスも使いやすいからです。動画とオーディオデータの閲覧とウィンドウズに対応したファイルへの変換、静止画像データの取り扱いも可能です。また上で説明した｢TmPlay｣のように､CD内から再生したいファイルを探して指定しなくても､ボタンを押せば自動的にCDを解析し､読み取り可能ファイルを表示してくれます｡その中から見たいデータを選ぶだけで、操作が非情に楽です。
そのPsxMCですがシェア版(1200円)とフリー版があります｡ フリー版では下の点が制限されています。
・MIDI系データを扱うことができる
・静止画像データを扱うことができる
・PSX Multi Player(PsxMP)が使える
・WAVEオーディオをmp3に変換できる
・ポップアップレビュー機能がある
自分の懐と相談して､どちらかを選びましょう｡｢とりあえず自分の持っているゲームのOPムービーを見てみたい｣という人は､フリー版を手に入れてください。
■ポリスノーツの場合
まずはポリスノーツというゲームで試してみました｡他にもPSのゲームはあるのですが､ムービーよりもゲーム中の音声が欲しかったので、このゲームを選びました。音声とはゲーム中でキャラクターが喋っているときの声です｡
PsxMCで解析してみましたが､OPムービーといくつかの静止画像は出てきただけで､音楽や音声などは全く出てきませんでした｡これはどうやら音楽・音声ファイルがゲームメーカー独自の特殊な形式になっていて､PsxMCが対応していないためのようです｡ このようにソフトによってはムービーが取り込めたり､取り込めなかったりとマチマチなので､情報サイトで調べたり自分で確認する必要があります｡
■バイオハザード3の場合
ポリスノーツは不発だったので､手元にあったバイオハザード3で再挑戦です｡PsxMCの解析を待つこと数分…ビンゴです｡ ポリスノーツのときは解析結果が10にも満たなかったのですが､今回はかなりの数がリストアップされています｡
全部で1000は軽く超えており､ゲーム中に流れる音声､アイテムやゲーム中に使う地図の画像など、色々なデータを見ることができました｡ さらにゲーム中に見ることのできるムービーもすべて見られました｡もちろんエンディングムービーも見れます。
このように解析するゲームによって解析結果はバラバラです。実際に試してみるのが一番でしょう。
■ムービーの保存
普通ならこれで終わりなのですが、時が経てば「バイオハザード3のエンディングムービーをまた見たいな」と思う時がやってきます。そうなるとPsxMCを起動して、CDドライブにバイオハザードのソフトを入れないといけません｡これは非常に手間が掛かる作業になります。そういう手間を掛けないように、解析したデータをHDに保存しておく事をお勧めします。
やり方は簡単でCD解析終了後、｢操作→すべて選択｣を選び｢ファイル→変換開始｣を押せば後は自動でやってくれます｡ このときに保存する形式は､｢ファイル→環境設定｣を見てもらえば分かるように､ムービーはAVI形式､オーディオはWAVE形式､画像はBMP形式と､全てWindowsで操作可能なファイル形式です｡保存先なども環境設定から変更可能です｡
もちろんですが、リストアップされたファイルの中から任意に選んで保存する事も可能です。
最後は現在最も人気があるハード、プレイステーション2(以下PS2)の動画を取り出してみようと思います｡なおPS2はCDではなくDVDです｡DVDドライブの無いパソコンの場合は､ムービーを見る以前に読み込みが出来ませんのでご注意ください。
■Ps2Play
PS2のムービーを見るためには｢Ps2Play｣というツールを使います｡このツールは、 PS2のムービーで使われている .pss という拡張子のファイルを再生するためのソフトです｡
使い方は最初に説明したTmPlayと基本的に同じで､CD内から再生したいファイルを選択して再生させます。しかし拡張子が .pssでないと再生させる事が出来ません。特に各メーカーによっては再生方法に違いがあるらしく、PSほど手軽にムービーを見る事は出来ないでしょう。
そんな中で特殊なツールも存在します。それはPS2のムービーを見るというスタンスではなく、特定のゲームのムービーを見る事に特化したツールです。その中で特に有名なのが｢ふぁおのぺえぢ｣というサイトで、FFXやXenosaga2などのゲームムービーを摘出する為のソフトが公開されています。
ただ1つだけ注意がありまして、FFX2のムービーと音声を全部摘出すると、物凄い容量になります。HDDに空きがあるのを確認してから摘出してください。
「変換開始」を押すだけでOKです。とても楽チン。
他にもこういったツールがあると思いますので、興味のある人は探してみてはいかかでしょうか。
以上、ゲームムービーをパソコンで見るための方法でした。今回はSS/PS/PS2のみの説明になりましたが、他にもこういったツールは沢山あるでしょう。気になる人は探してみてください。自分の好きなゲームをパソコンで見られるのは素晴らしいと思います。FFXのムービーをパソコンで見てみたのですが、その凄さに度肝を抜かれつつ、よくここまで進化したなと一人感心していました。パソコンもゲーム機も10年後はどうなっているか想像もつきません。